Cサポの全国ネットワーク会議に参加した、個人の感想です。
第一部のパネルディスカッションの登壇者は4人。
最初の登壇者である江國氏の『知的障害のある方々への「合理的な配慮」とは?』についての感想です。
江國氏の合理的配慮には、知的障害者だけでなく情報を上手く検索できない人にも嬉しい配慮であるのではないかと思いました。
「配慮」という言葉から私たちひとりひとりの心遣いを連想していましたが、全く違いました。
合理的配慮とは
公に「制度を確立すること」「サービスを知的障害者に対してもわかりやすく整備すること」です。
コーヒーをスムーズに注文受け取りできますか?
合理的配慮が欲しいのは、知的障害者だけに限る話ではありません。
誰もが名前を知っているコーヒーチェーン店を初めて利用したとき、注文に戸惑ったことはありませんか?
カップ大きさ、どんな味なのか。メニューの多さにも戸惑います。
加えて、トッピングの多様さ。
シロップを加えたり、逆に甘さを抑えたかったり牛乳を豆乳に変更ができます。
よほど店の利用に慣れなければ難しいです。
駅近くに展開している店舗であれば、混雑もしています。並んでいる間に
- 何が飲みたいのか、食べたいのか
- どのサイズを頼むのか
- 席は注文前に確保するのか、店員さんが案内してくれるのか
決めなければ、と焦ります。
しかも、自分の後ろに人が並んでいたら、さらにプレッシャーがかかります。
知的障害がなくとも、他人に声をかけるのが苦手、怖いという人はたくさんいます。
それでも言葉が通じる場所なら質問ができます。しかし、これが海外だったらどうでしょう。
思ったものと違ったものが出てきたとき、「違います。変えてください」と伝えることが何の戸惑いもなく出来るでしょうか。
この不安と戸惑いは、知的障害者が日常的に感じていることと、ほんの少し似ているのではないかと思いました。
さらに、ポイントをスマホアプリで貯めれば割安で購入出来たり、無料で商品と交換できるサービスがあります。
知らない人も多いのではないでしょうか。
私の周りで、このコーヒーチェーン店を、1人では不安だから利用しない、という友人が何人もいます。
私を含め、慣れないお店での友人たちの選択肢は
- 知っている人と一緒に行って同じものを頼む
- 事前にメニューをもらって、知っている人に自分の希望と疑問を伝えて決める
ということです。
始めるのは簡単だけれど使い方と終わり方がわからない
他にも高齢の方に
「友達にお得だよって言われたから〇〇ペイを入れたんだけど、入金と支払いの仕方しってる?」と質問されたことがあります。
言われたことを吟味せずに利用を始めてしまう、というのは消費者トラブルにもつながるのでないかと思った事例です。
先日、最近流行っているSNSアプリについて調べる機会がありました。
調べを進めたところ、退会する方法がありませんでした。アプリから表示を消すためには1年間利用しないこと。
1年間の利用が無ければ自分のページはアプリ内で表示されなくなります。
しかし、登録したIDやアドレスなどはどこかに残ったままになっているのです。
流行っているから、友人に勧められたから。
知的障害者がトラブルに巻きまれる原因のいくつかは、こんな些細なことから始まるのかもしれません。
他にも、新しい場所へ行くのに行き方は丁寧に調べますが、帰り方は細かく調べないことはありませんか?
「簡単に始められます」という謳い文句とともに「終わり方」も確認しておくことが重要だと思いました。
合理的配慮が進めば知的障害者だけでなく私たちにも嬉しい世の中に
利用者がもっと楽しく利用できるように、選択肢を広げて自由に選択できるように。
選択肢の多いサービスは、企業や店舗が顧客や利用者のために企画されました。
それにより、楽しく豊かに生活が送れるようになった人たちがいます。
しかし、その選択肢の多さについていけない人たちが生まれているのも事実です。
それが知的障害者であるなら、さらに取り残された状態になってしまっていることは簡単に想像できます。
知的障害者が知らされないことで損をする(損をさせる)のは差別である。
合理的配慮とは、心遣いではなく知的障害者が持つ権利である。
この2点を江國氏の講演から強く感じました。
初めて利用する人がすぐわかるようなシステム。
合理的配慮が進むということは、知的障害者にとってだけでなく、初めてサービスを利用する消費者にとっても暮らしやすい社会になるのではないでしょうか。
江國氏のお話しの概要はこちら
「知的障害のある方々への「合理的な配慮」とは?・・消費生活を支える立場から考える」
初めの登壇者である江國泰介氏は、障害者への「合理的配慮」とは何かを問いかけました。そして、知的障害者の立場とそれを支える周りの環境からどのような課題があるのかというお話がありました。
合理的配慮とは、障害のある人へのサービスなどに不公平や不利益が生じないための配慮です。心遣いではなく法的に義務付けられた行為です。
企業や店舗などは、自社が負担になりすぎない範囲で障害者へサービスを提供する努力義務が制定されていると説明しました。
江國氏は障害者も社会もお互いに配慮し、無理と不利益が生じない社会の実現を訴えました。
最後は知的障害者が、消費生活において困っている具体的な事例を挙げ、解決案を提示しました。
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