Cサポの全国ネットワーク会議に参加して・・・②

Cサポ

Cサポ全国ネットワーク会議に参加した個人の感想です。

第二回目は特別支援学校の教頭先生のお話です。

特別支援学校は生きていくための教育を行っている

「星本」を知っていますか?

知的障害者教育では重要で基本の言葉です。

星本とは、理解のレベルに合わせた金銭教育の教科書のことです。

この星本を使った教育は、知的障害者が実践的に役立だてるために使われています。

小学校低学年からのおこづかい帳教育

遠藤氏の紹介で興味深かったのは、小学校低学年からの金銭授業でした。

遠藤氏は「国語と算数を組み合わせて、金種についての授業を行います」と簡単に説明しましたが、それこそが今後の人生を生きていくためということを強く意識させました。

金種について、言葉も単位も私たちは普段考えもしません。生活の中でなんとなく覚えてきたものでした。

買い物で考えるのはせいぜい予算と、綺麗にお釣りをもらえるかという引き算程度です。

しかし、実はしっかり把握しておかないと日常生活で大変な苦労をすることになります。

私たちは一生お金と共に生きていくからです。

サービスを受けることにも、物を買うことにも家に住むことにもすべてお金が関わっています。目に見える現金であれキャッシュレスであれそれは変わりません。

だからこそ、小学校低学年という幼いころから始め、卒業後に少しでも快適に生きていくために心と頭に染み込ませるのだ、ということが遠藤氏の言葉から伝わってきました。

紹介された授業例には、小学校から高校までのすべてレベルに合わせたオリジナルの「おこづかい帳」のようなものが使われていました。

家庭でなんとなく覚え行くものではなく、きちんと理解させる教育。

これはとても大事なことだと感じました。

知的障害の無い人の身に置き換えてみます。

例えば、初めて行く海外で硬貨の価値が瞬時にわからず、お札ばかり使ってしまい硬貨がどんどん余っていく状況と似ているかもしれません。

ホテルでゆっくり硬貨を確認して残金を数えるのも疲れたり、わからなくなったり。

計算が合わなかったりもします。

もしかしたらお釣りを間違えられたかもしれない、と思うのはすべての会計が終わった後です。

海外旅行に日本を訪れた外国の方が、会計時に財布ごと店員に差し出す場面を何度も見たことがあります。金種がわからなければ、そうして会計をするという選択しかとれないかもしれません。

金銭教育は生きていく基本であるからこそ行われているのだと痛感しました。

隣り合う特別支援学校と公立小学校の児童たち

地域交流が大切であるということも、遠藤氏は紹介されました。

以前、特別支援学校と隣り合う小学校の運動会の見学に行ったことがあります。

車いすも座るタイプだけではなく、寝かされた状態で移動する児童たちもいる学校でした。特別支援学校の子供たちを認めると、公立小学校の子供たちが

「あ、〇〇ちゃんだ!」と名前を呼びながら障害児たちに駆け寄っていった姿が忘れられません。

運動会のプログラムは、障害児と普通学級の児童が同じ演目でダンスを踊ったり、同じ土俵で楽しんでいました。当然、合同のでの時間は体力の都合で短いものではありましたが、大人の力を借りずに小学生だけで上手に車いすや障害児の誘導をしている姿には目を見張るものがありました。

その小学校の先生に伺ったところ、こちらが特に指導しなくとも心遣いの出来る子供のが自然に育つ土壌がある、というコメントをしていました。ポイントは、イベントだけでなく日常的な触れ合いなのではないかと思います。

遠藤氏は居住地域の児童との交流の重要性について触れていました。

よき理解者、良い友人が周囲にたくさん居れば、公的な支援を受ける前に日常生活の不便が少しだけ解消されるかもしれません。

特別支援学校卒業後の不安

先日、少子化により学校の統廃合が進む中、特別支援学級は教室が足りないというニュースを見聞きしました。その中で知的障がいを持つ子供は約9割を占めるともいいます。

知的障害のレベルといっても、軽度から重度まで様々。

さらに18歳以上の障害児の自立支援について厚労省が、移籍支援策を検討する方針を固めたことも報道されていました。

地域の就労支援施設の不足から、障害児施設に留まっている障害者がいる状況を伝えています。

この2つのニュースから教員数やサポートする労働力は足りているのかという疑問が生まれました。

講演の中で就職支援のケアが中心になっているのではないかという質問が出ています。

その背景には、知的障がいを持つ人たちがスムーズに社会に出ていくことが出来るように配慮する、特別支援学校の事情が伺えました。

加えて、卒業後の消費者トラブルの事例の紹介。

特別支援学校や障害者施設は卒業して終わりではなく、安定して継続的なケアが必要なのだと改めて思いました。

遠藤氏のお話の概要はこちら

「特別支援学校における就労支援と金銭管理教育の取り組み」

遠藤洋氏からは教頭を務める特別支援学校の、知的障害を持つ生徒・児童たちへの教育の取り組みの紹介がありました。

遠藤氏の学校では、小学校から金銭管理の授業を行っています。社会で生きていくための授業を、実例を挙げながら紹介しました。

また、特別支援学校に通う期間、居住地域から児童がいなくなってしまっているという心象があること。その実態を拭うために居住地域との交流も、課題はあるものの重要であるといいます。

参加者からは高学年になるにつれ金銭教育の授業がイベント的になり、就職支援中心のケアになっているのではないかという質問も。

しかし、遠藤氏の学校ではコロナ禍で難しい部分もが、継続的に授業が行われていると回答しました。

今後の展望として、卒業後に起こった金銭トラブルを挙げ、在学中だけでなく卒業後のケアも重要であることを訴えました。

CサポHPより https://www.c-support.or.jp/page/home.html

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